戦国武将・武者人形の戦国堂
2005年4月にオープンした戦国堂。わずかな期間とは言え、お客様や製作関係者との交流から、さまざまな想い出をつくることができ、その間に知ったこと、感じたこと、感動したことを想いのままに綴ってみたい、と思い立ったこのコーナーも結局、実際の開設が9月にまでずれ込んでしまいました。もともと好きで始めたこの仕事、自分の割ける時間の半分以上は、この戦国堂の運営に注ぎ込んでいますが、どうしても日々の商品開発やお客様からの問い合わせへの回答、注文の処理といった事項が優先し、このコーナーの原稿はつい後回しになってしまいます。そんな状況ですが、自分の足跡を残す意味でも、ぜひ長く続けていきたい、そのためには、定期刊行などと自分にあまりプレッシャーをかけずに、力を抜いてリラックスした自然体で書き続けていきたいと考えています。

2006年9月16日
「十人十色の武将イメージ」

天と地と 私が、日本の歴史や武将モノにハマルこととなったのは、私が小学4年生の時に見たNHK大河ドラマの「天と地と」(1969年放映、主演:石坂浩二、高橋幸治)がきっかけでした。番組冒頭の「天と地と」の題字と、馬のいななき、テーマ音楽(富田勲作曲)の琵琶の音色、上杉謙信の突撃シーンは、いまでも頭の中に(当時我が家のテレビが白黒であったため、白黒映像で)鮮明に残っています。アヒルのヒナの実験で有名な「すりこみ」のように、私の中では、今でも、戦国武将=白馬にまたがった行人包の石坂浩二さんの演じた上杉謙信、という図式が生き続けています。(※このドラマは『NHK想い出倶楽部U-黎明期の大河ドラマ編-D』として、DVDでポニーキャにオンから販売されています)

石坂浩二の上杉謙信 このような武将イメージの「すりこみ」現象は、多くの人にあるようで、親しくなった戦国武将ファンのお客様のお話を伺うと、一人一人の武将についても、各々持っているイメージが異なり、それは多分に夢中になったテレビドラマ、映画、コミック等のキャラクターの影響を受けているようです。さらに、今後、現在の10代、20代の人たちにとっての武将イメージでは、ゲームソフト用にデザインされたキャラクターも無視できない存在になってくるのでは、と思います。

 ちなみに、私の中での、主な戦国武将のイメージは、次の通りです。

武将 メディア・俳優 コメント
上杉謙信
上杉謙信
・NHK大河ドラマ「天と地と」(1969年)中の石坂浩二さん
石坂浩二さんは、その後は大ヒットドラマ「ありがとう」等、心優しい二枚目というソフトな役柄が多い俳優ですが、「天と地と」では、声も大きく張りがあり、戦国武将「上杉謙信」を颯爽と演じていました。
武田信玄
武田信玄
・NHK大河ドラマ「天と地と」(1969年)中の高橋幸治さん
今思うと、ニヒルで知的、かつ重厚感のある信玄です。私としては、思慮深く教養豊かであったと言われる信玄のイメージに最も近い俳優ですが、もっと若い世代では。中井貴一さんのイメージの方が強いかも知れません。
織田信長
織田信長
・黒澤明監督の映画「影武者」(1980年)中の隆大介さん

・NHK大河ドラマ「天と地と」(1969年)中の杉良太郎さん
隆大介さんは、映画の中では単なる脇役で登場シーンもそれ程ありませんが、見た瞬間に「これこそ信長!」と私の体に電流が走った程のはまり役だと思います。他にはNHK大河ドラマ「天と地と」の中で、杉良太郎さんの演じた信長も、眼つきの鋭い迫力ある顔立ちで、私の中では「信長らしい顔」として印象に残っています。

 戦国堂は、ビジネスとして運営している以上、新作人形の企画・デザインの段階では、当然、人気のあるドラマ、コミック等のキャラクターも参考にしています。実際、参考にすることによって私自身が新たな刺激を受け、一人の武将のイメージが多少変化する場合もあることでしょう。

 しかし、基本的には、売れそうな人形(多くの人が望む顔立ち、装いの人形)を作る、というよりは、私自身が欲しい、欲しくなるような人形を作る、という結構我儘な開発方針の方が優先しているので、これから発表する新作についても、少なからず上記のような私自身の持つ武将イメージが影響しているのは否定できません。
 ただ、「私自身が欲しくなる」という考えは、何も好みやイメージの違いの問題だけではなく、質感といったクォリティの面でも、自分で身銭を切って欲しくなるほどの品質でなければ、他人様に認めてもらえるわけがない、という意味も兼ね、心がけるようにしています。言い換えれば、私自身が「こんな作品は自分では欲しくない」というような出来栄えの商品を店頭に並べない、ということでもあります。

 最近、新作発表を機会に、何組かの既存のお客様からお電話をいただき、ご購入いただいた人形を家宝のように大切に飾っていただいている旨を、直接伺うことができ、品質重視の基本方針が間違っていなかったとの意をあらためて強くしている所です。

 戦国堂で製作している人形は、世間相場から見れば間違いなく高級品(値段が安いとは言えない商品)で、量産ベースに乗らない多品種少量生産の極致とも言える「趣味のぜいたく商品」なのかも知れません。それだけに、各々のイメージにこだわって購入を検討していただくお客様が殆どである以上、お客様の数だけ商品揃えをしなければならないと言っても過言ではありません。もちろん、費用や時間の制約から対応できない場合もありますが、ポーズや、持ち物、衣装を変える等々比較的容易にできるカスタム方法もありますので、お客様には、ぜひご自分自身のイメージ、こだわりやご希望を遠慮なくぶつけてご相談いただけたらと思います。


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